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交通事故被害相談@銀座

交通事故における同乗者の慰謝料と過失相殺

  • 文責:所長 弁護士 岩崎友哉
  • 最終更新日:2025年3月7日

1 はじめに

同乗者の場合、運転者と異なり、車両を運転していたわけではなく、事故の原因を直接発生させたものではありません。

このため、運転者について過失相殺がされる場合でも、同乗者に対する過失相殺はされずに、所定の慰謝料支払を受けられることが多いのですが、同乗者も過失相殺がされてしまう場合として、以下のものがあります。

2 同乗者が運転者と家計を同じくする者である場合

⑴ 共同不法行為と賠償の範囲

交差点での事故などのように、双方の車両の運転者に過失がある場合、各運転者は、民法上の「共同不法行為者」として、同乗者に対し、それぞれ過失割合の有無にかかわらず、損害全部を賠償する義務を負います。

ただし、被害者の損害が100である場合、被害者は、それぞれの運転者に100全部を請求することができるにとどまり、双方の運転者から100+100=200を賠償してもらえるわけではありません。

被害者に対する賠償額は、100を超えることはできません。

また、片方の運転者が100全部を賠償した場合、もう片方の運転者に対し、過失割合分を支払うよう請求できます。

それぞれの運転者の過失割合が、いずれも50の場合、100を支払った運転者は、もう片方の運転者に50を請求することができます。

⑵ 被害者側の過失

家計を同じくするもの、例えば夫の運転する車両に妻が同乗中に事故に遭った場合、同乗中の妻は、相手方の運転者に損害全額を請求することができます。

しかし、相手方の運転者は、もう一方の運転者である夫に対し、過失割合に応じ、賠償額の一部を支払うよう請求することができます。

そこで、このような請求の手間を省くため、家計を同じくする者が、事故の相手方から慰謝料を含む損害の支払を受ける場合、「被害者側の過失」として過失相殺を行い、自車の運転者(夫)の過失割合分を減額した分のみ支払を受けることとされています。

3 好意同乗について

かつて、運転者の好意により同乗したものが、運転者の過失により負傷・死亡した場合、同乗者の運転者に対する賠償請求を減額すべきかどうかが問題となりましたが、現在では、減額しないこととされています。

ただし、同乗者が、運転者が飲酒をしていることなど、運転者が運転するのに危険な状況にあることを知りながら同乗して事故に遭った場合や、同乗者が事故を招くような行動をした場合(あおり運転をするよう仕向けたなど)には、同乗者の運転者に対する賠償請求は、過失相殺により減額されるものとされています。

4 おわりに

過失割合が問題となる事故においては、いろいろと難しい問題がありますので、専門家である弁護士にご相談ください。

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