駐車場で起こった交通事故における過失割合
1 はじめに
交通事故において、過失割合は多くの事例で問題となる事項です。
それ故、事故の類型ごとの過失割合についての基準を明らかにする試みが継続して行われています。
しかし、駐車場での過失割合については、まだ検討の途上にあるといえます。
交通事故の過失割合の基準についてまとめた「別冊判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という書籍があります。
これは、裁判所関係者、弁護士及び保険会社関係者のいずれもが参照する文献なのですが、駐車場における過失割合についての記載が初めてされたのは、最新の全訂5版になってからです。
2 車両相互における、駐車場の過失割合の一般的な原則
上記判例タイムズに記載された駐車場での過失割合の基準についての概略は、以下のとおりです。
駐車場の通路を走行する車両どうしの過失割合は、原則として50:50とされています。
駐車場では、車両と歩行者それぞれが様々に移動していること、一般的な道路と違って交通ルールが明らかではないことから、各車両の運転者において、一般的な道路における運転よりも高度な注意義務があるとされるためです。
駐車区画から退出しようとする車両と、通路走行中の車両とでは、退出しようとする車両が70、通路走行車が30とされています。
これは、退出しようとする車両は、駐車区画内で、通路走行車の通過を待つことにより、通路走行車との衝突を容易に回避することができるためです。
3 駐車場内の歩行者と車両との過失割合
車両よりも歩行者の過失割合のほうが圧倒的に低く、交通弱者である歩行者の保護が図られています。
駐車場内の歩道や横断歩道上であれば、歩行者は全面的な保護を受け、歩行者の過失割合は0となりますが、通路や駐車区画内では、歩行者の過失割合は10、自動車が90とされています。
駐車場内は、様々の方向に車両や人が行き交い、事故発生の可能性が高い場所です。
このため、交通弱者とされる歩行者にも、事故回避の義務を負ってもらうのが相当であることを考慮して、歩行者の過失割合は10とされています。
4 ドライブレコーダーなど画像の重要性
駐車場での事故だけに限られるものではありませんが、事故時の画像の有無が、結論に大きく詠唱することがあります。
このため、ドライブレコーダーがあると、事故後の適切な対応や解決に役立つことになります。
5 おわりに
駐車場の過失割合の問題については、いろいろと難しい問題がありますので、弁護士にご相談ください。