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交通事故被害相談@銀座

交通事故で素因減額が問題となることがあると聞きましたが、素因減額とはどのようなことでしょうか?

  • 文責:所長 弁護士 岩崎友哉
  • 最終更新日:2025年2月5日

1 はじめに

素因減額とは、事故前から被害者に何らかの身体的・精神的な異常があることにより、これがない場合と比べ、症状が重くなるなどして、事故による損害が拡大した場合に、損害額の一定割合を過失相殺と同じように減額することをいいます。

最高裁判例により、減額の根拠として、民法の過失相殺の規定を類推適用して減額することが明らかにされました。

類推適用とは、ある法律上の制度がある場合、これと似たものについても、同じような扱い(適用)をすることをいいます。

素因減額は、過失相殺そのものではありませんが(素因があることについて、被害者に過失があるわけではないので。)、公平を期すために損害額を減額することが、過失相殺の制度に類似するものとして、過失相殺と同じように損害額の一部を減じることとしたものです。

また、素因には、身体的なものと、精神的なものの2つがありますが、最高裁判例は、そのいずれについても素因減額がされうることを示しています。

2 身体的素因による減額の例

事故後、精神障害を呈して死亡した被害者について、事故による頭部打撲傷のほか、事故前に罹患した一酸化炭素中毒もその原因であることが明らかであるとして、損害の5割を減額した判決について、最高裁が認めた事例があります。

その一方で、被害者の首が長く、多少の頸椎不安定症があるとの事案について、「被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なると身体的特徴を有していたとしても、それが疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の身体的特徴を、損害賠償の額を定めるに当たり斟酌することはできない。」とした判例もあります。

3 心因的素因の例

事故後10年以上の入通院をした事例について、そのうち本件事故により生じたとされる治療期間を3年に限定し、かつ、損害の拡大に被害者の心因的要因が寄与していることが明らかであるとして、損害額の4割を減額したとの事案があります。

4 おわりに

素因減額は、事案毎に個別に検討されます。

同じ事例の裁判例があれば、これを参考にしながら減額の割合を定めますが、どのような事情によりどの程度減額すべきかについて、難しい問題がありますので、弁護士にご相談ください。

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